手指衛生とアルコールのきびしい関係
こんにちは、もちです。
「医療機関従事者で正しい使い方をしているところは、素手ではなく手袋の上から60秒消毒をしている」
というのを耳にしたのですが、どうもこれは間違いのようです。
サラヤの医療従事者向けサイトによると、手袋の上から手指衛生をすると、手袋が破損してしまう可能性があるので避けるべきとのこと。
疾病対策予防センター(CDC)は
・マスク、手袋、キャップ、シューズカバーは取り外した後に手指衛生を行うことが重要
・手指衛生は、60〜95%のアルコールを含むアルコールベースの手指消毒剤を使用するか、石鹸と水で少なくとも20秒間手を洗うことによって実行する必要がある
・手が明らかに汚れている場合は、アルコールベースの手指消毒剤に戻る前に、石鹸と水を使用する必要がある
と記載しています。
他にも、D Adamsらによる『A clinical evaluation of glove washing and re-use in dental practice』では手袋の上から消毒を行っても完全に微生物を除去できる保証はないと示されています。
以上から、医療関係者は処置が終わったあと、手袋を外してから手指衛生をしなければなりません。また、手洗い・アルコール消毒による手荒れ対策についてもしっかり行うよう注意喚起されています。
『手指衛生のススメ』https://med.saraya.com/kansen/handh/taisaku/
『医療従事者の手荒れの現状と対策』https://www.shinfuji.or.jp/public/info/pdf/zennihon/50.pdf
なぜ手洗いで手荒れが起きるのか?
石けんによる手洗いや、アルコールで手が乾燥して、皮膚バリアが壊れ、ひどいときには手湿疹になります。
肌の表面の角質層はバリア機能という、水分が皮膚から逃げないように、肌に潤いを保つ役割があるが、手洗いなどで傷ついてしまうと、角質層がはがれ、水分が逃げてしまい、肌が乾燥し、バリア機能が低下してしまう。石けんの洗い残しや手洗い後の水分の不適切な拭き方なども関係していると考えます。
(引用:千里中央花ふさ皮ふ科)
手肌の荒れは、細菌の温床となり感染伝播の原因となります。
細かい傷があると傷の部位で黄色ブドウ球菌などがバイオフィルム(固体の表面に微生物と微生物がつくる菌体外多糖などの生産物が集まってできた構造体)を形成します。
バイオフィルムがあると消毒の効果が低下するため、ウイルスが残りやすくなる可能性があります。
また、手荒れにより痛みを感じることで、手指消毒や手洗いが不十分になり、よりウイルスが残りやすくなると考えられています。
しかし、一般的(医療従事者以外)にはアルコール消毒後の手指の保湿の重要性はあまり知られていないようです。
千里中央花ふさ皮ふ科によると、
「もともと当院は、院長が皮膚科専門医・アレルギー専門医院長をしているため、アトピー性皮膚炎や乾燥肌による手荒れの患者様が多いのですが、その中でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延している2020年3月、4月以降、手荒れが悪化した患者さんが大人も子供も例年に比べて数倍多い印象です」
ということでした。
看護師の手荒れ状況
ドクタープログラムによるハンドクリームに関するサンプル調査によると
(画像引用:http://kyorin-teyubi.jp/handcare/index.html)
ほとんどの看護師が、手指衛生を行って、手荒れしたことがあるとの結果が出ています。
手荒れ部位
(画像引用: http://kyorin-teyubi.jp/handcare/index.html)
また、特に手荒れしている部位は、『指・指先』とのことでした。
乾燥やささくれなどの軽度の手荒れが多いものの、3人に1人はひび・あかぎれといった症状に悩まされているようです。
手荒れによる苦痛
看護師の85.5%は、手荒れにより、手洗いやアルコール消毒を苦痛に感じたことがあるということで、これらの苦痛が「手洗い・アルコール消毒をしたくない」という意識につながっているようです。実際にアルコール消毒や手洗いを控えている人もいるという結果に終わっています。
次回は次亜塩素酸水と手洗いの関係について調べてみようと思います👀